ロンドン通信 vol.1


ロンドンに来て一ヶ月。ようやく生活のリズムが掴めてきた。

p1010017.jpg

東の果てから朝開き丸に乗って
 手配して頂いた成田発のヴァージンはプレミアムクラスで、乗った瞬間にシャンパンが出たりするのですっかり気分が盛り上がる。機内では『バンテージポイント』やら『カンフーパンダ』を観て14時間ほどでヒースローに到着。厳しいことで有名な入国審査でしこたま捕まり辛くも入国。これまた荒いことで有名なタクシーの運転に半時間ほど揺られると、積み木細工の様な町並み(ロンドンは想像していたよりもずっと“ヨーロッパ”)と、穏やかで美しい公園を抜けて滞在先のメゾネットに到着。場所は映画『ノッティングヒルの恋人』で、ヒューグラント演じる主人公の家の隣というロケーション。このあたりは映画の影響もあって、有名人が住む様な大変セレブな地帯になっているらしく、件の家の扉にはよく観光客が群がっている。また週末には骨董市が開かれて、ヨーロッパ中から集まった観光客で文字通りごった返すところ。

p1000458.jpg

白亜の豪邸
 グランドフロア(日本でいう一階)の不動産屋の隣のドアを入り、階段をのぼると洗濯室の前に靴を脱ぐスペースが。どうやら土足禁止の家のようで、我々日本人には良い。二階(欧州ではようやく一階)はひたすら広いLDKに50年代風のキャビネットをはじめ、巨大なソファ、使って良いのかわからない暖炉、何故かフェンダーのギターアンプなどが並んでいる。キッチンはひたすら広く、当然のように食洗機がビルトイン。さらに階段を上がると二つの寝室とバスルーム。この家でなにより気に入ったのは、バスタブの上に開けられた、スイッチ一つで開閉できる天窓。晴れた日(もちろん大抵は曇りだけど)の午前中に天窓を開けて入る明るく広い風呂はこの家の何よりの美点。さらに、幅の狭い梯子の様な階段を上るとルーフテラスに出ることができる。このあたりには三階よりも高い建物がほとんどないため、屋上からは市内をぐるりと見渡すことができる。屋上の空気は東京のそれよりもややひんやりとして、空気は澄み、ヒースローからひっきりなしに飛び交う飛行機が描く飛行機雲がくっきりと見える。ここにこれから2ヶ月住むという実感が全く感じられなかった。

p1010020.jpg

 しばらく住んでみてわかったのは、各部屋に備え付けのセントラルヒーティング他、設備は申し分ない。しかし、立地が災いして通りの向こう側にあるパブなどから、夜遅くまで大変賑やかな喧噪が(英国人は酒癖が悪いとか)聞こえる。そして目の前をロンドン名物の巨大な二階建てバスが行き交えば地鳴り。極めつけは、シャワーを使う度に階下のリビングに雨漏り。これは英国の建築では珍しくないとか(以後3度修理して、ようやく完治)。さてこの愛すべき白亜の豪邸、売りに出ているようで、度々内見が入る。面倒なので、その度にあたりで時間を潰したりしているのだけれど、ふと気になってグランドの不動産屋に貼り出された売値を見ると、恐ろしい数のゼロが…。恐るべし哉、ノッティングヒル。(つづく)